実験装置

PPMS Dynacool

研究室の主要な装置の一つであり、磁化や磁歪測定に使用しています。この装置を用いて、LaCoO3やLa(Sr,Co)O3の磁化測定を行い、コバルトイオンのスピン状態遷移や磁気形状記憶効果の起源を調べています。また、In2O3やIn(Al)2O3へのコバルトドープによる磁性の発現についても、この装置で詳細に研究しています。

磁場は最大9T,温度は通常2~400 K,磁化測定だけ最大1000 Kまで可能です.

磁化測定用の試料ホルダーです.

直流抵抗測定用の測定パックです.

赤外線集中加熱炉

赤外線集中加熱炉は,浮遊帯域溶融法を用いて単結晶を育成するために使われる装置です.4 つの楕円面鏡で光源(ハロゲンランプ) から照射する光を一点に集中させ高温領域をつくり,その焦点に試料を置いて溶かします.試料を溶かした溶融部分は,表面張力により空中に保たれます.その部分を移動させることにより,溶解と凝固を同時に行い単結晶を育成します.溶融部分を空中に浮かしているので不純物が混入しにくく,高品質な単結晶を育成できるという特徴があります.

この装置で育成したLaCoO3やLa(Sr,Co)O3の単結晶は、磁歪や磁化測定に用いられ、スピン状態遷移や磁気形状記憶効果の研究に不可欠な試料となっています。また、専攻科の現代物理学の授業では、TiO2やグリーンサファイアの単結晶を、この装置で育成しています。

装置外観

楕円面鏡とハロゲンランプ

グリーンサファイア

LaCoO3

TiO2

電気炉

試料の加熱処理や,多結晶の作成およびフラックス法による単結晶の育成に用います.

1400℃常用,最大1500℃まで加熱できる電気炉です.酸素フロー中で加熱できます.

試料の加熱処理や多結晶の作成、フラックス法による単結晶の育成に用いています。In2O3やIn(Al)2O3へのコバルトドープによる磁性の発現を調べる際には、この電気炉で試料の合成を行っています。また、LaCoO3やLa(Sr,Co)O3の多結晶試料も、この装置で作製しています。

1250℃常用,最大1300℃まで加熱できる電気炉です.酸素フローも可能です.

走査電子顕微鏡

試料の拡大観察や,エネルギー分散型X線分析を用いた組成分析が出来ます.In2O3やIn(Al)2O3へのコバルトドープによる磁性の発現を調べる際には、この装置でコバルトの分布状態を確認しています。また、LaCoO3やLa(Sr,Co)O3の単結晶や多結晶の品質評価にも活用しています。また、専攻科の現代物理学の授業では、学生達が自分の毛髪のキューティクル状態を観察したりしています。

ラマン分光

ラマン散乱の測定が出来る装置です.冷凍機もついていて,10Kまで冷やすことが出来ます.物質の振動状態を調べるために用いています。LaCoO3やLa(Sr,Co)O3のスピン状態遷移に伴う格子振動の変化を、この装置で詳細に研究しています。また、In2O3やIn(Al)2O3へのコバルトドープによる格子振動への影響も調べています。低温測定が可能なため、温度に依存したスピン状態の変化を研究する上で重要な装置となっています。