佐藤桂輔 研究室

茨城工業高等専門学校の佐藤桂輔研究室へようこそ。

当研究室では、酸化物磁性材料の実験的研究と機械学習を組み合わせたデータ駆動型の材料設計に取り組んでいます。また、生成AIを活用した教育アウトリーチ活動も積極的に行っています。

現在、本科5年生3名(電気・電子系)が研究活動に取り組んでいます。


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👤 佐藤桂輔

佐藤桂輔

茨城工業高等専門学校 国際創造工学科 一般教養部 准教授

学歴

  • 博士(理学) 電気通信大学 情報理工学研究科 先進理工学専攻(2012-2015)
  • 修士(理学) 東京大学 理学系研究科 物理学専攻(2000-2002)
  • 学士 電気通信大学 電気通信学部 電子物性工学科(1996-2000)

職歴

  • 2015年4月-現在 茨城工業高等専門学校 准教授
  • 2025年3月-2025年12月 株式会社ローカルイノベーション AI技術顧問(非常勤)
  • 2010年4月-2015年3月 茨城工業高等専門学校 講師
  • 2008年4月-2010年3月 東京大学 物性研究所 特任研究員
  • 2002年4月-2008年3月 株式会社富士通研究所

AIを測定装置のように疑う — 校正された不信感という作法

AIはブラックボックスだから危ない、という話をよく聞きます。確かに、中が見えない道具を確認なしに「答え」として扱うのは危ういと思います。 ただ、ブラックボックスであること自体を問題にすると、多くの道具を手放すことになります。万有引力の法則は強力に使えますが、なぜ質量を持つものが引き合うのかを根源まで閉じているわけではありません。実験装置も、内部をすべて自作できなくても、校正できる、誤差を見積もれる、どの条件で壊れるかを知っている、というところまで持っていければ道具として使えます。焦点は、ブラックボックスかどうかよりも、その癖をどこまで把握できているかの方にあると感じています。 信じる前に、まず測る 自動測定装置は便利です。試料をセットしてボタンを押せば、きれいなグラフが出ます。ただ、その曲線には試料の置き方、ホルダーの寄与、温度の揺れ、残留磁場、解析ソフトの前提が混ざります。慣れた人ほど、まず装置を疑います。標準試料を測る、空のホルダーを測る、変な値が出たら対象由来か装置由来か解析由来かを切り分ける。PPMSでもラマンでも、最初の数分はだいたい「装置と挨拶する時間」に消えていきます。 AIとの付き合い方も、ここに近いと感じています。「答えをくれる存在」と見ると危ういのですが、「応答を返す装置」と見ると少し扱いやすくなります。同じ問いを少し違う言い方で投げる、既知の問題で試す、返ってきた答えを手元の資料や自分の手計算で照らす。完全な透明性がなくても、安全に使える範囲までは持っていけます。必要なのは「校正された不信感」と呼びたい姿勢です。 ただ、AIは普通の測定装置とは少し違う 比喩としては通用するのですが、AIには測定装置にない厄介さもあります。 ひとつは、応答が固定されにくいこと。モデルの更新や設定、検索の有無、聞き方の少しの違いで結果が揺れます。 ふたつめは、誤りが数字として見えにくいこと。測定値ならばらつきやノイズで気づけますが、AIの誤りはもっともらしい文章として出てきます。エラーバーのかわりに、なめらかな説明が出てくる感じです。 そしていちばん厄介なのが、AIは答えだけでなく問いの形まで動かしてしまうことです。どの整理が自然そうか、どの論点が重要そうかまでセットで差し出してくる。気づくと、AIが答えやすい問いを「よい問い」だと思い始めているかもしれません。普通の測定装置は対象を測りますが、AIは対象を測りながら、使う人の理解感も一緒に動かしてしまうところがある。だからAIを使うときは、AIの応答と、それを読んだ自分の判断の、両方を測る必要があると感じています。 信頼は、気持ちではなく経路でつくる 実用的な作法は、案外地味です。既知の問題で試す、根拠が薄いときにどんな応答をするか観察する、得意な作業と苦手な作業を分ける、重要な判断に使ったときは、どの出力を何で確かめたかを短く残しておく。 すべてのやりとりを記録する必要はありません。残しておくとよいのは、判断に直接触れる部分だけです。何を入れて、何が返ってきて、どこを採用し、何と照らし合わせ、どこからは使わないと決めたか。「AIを使いました」だけでも「使いませんでした」だけでも、説明として足りない気がします。大事なのは、その判断がどんな確認を通っているかの方ではないかと思います。 おわりに AIを拒んでも安全になるわけではないし、任せきりにすれば賢くなるわけでもありません。透明でない道具と付き合う作法を、勘ではなく、後から辿れる経路にしていく作業だと感じています。同時に、検証の負担を使う側だけに背負わせず、組織や提供側にも置きどころを分けていく必要もありそうです。 最後にひとつだけ。AIを使う前に、自分は何を問いたかったのか。AIの答えを読んだあと、その問いは深まったのか、それともAIが答えやすい形に丸められただけなのか。AIは、問いを閉じる道具にも、広げる道具にもなり得ます。皆さんは、AIを使ったあとに、どんな問いが手元に残っていますか。

May 13, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

学生が関わった研究成果を、論文として残すこと

当研究室では、高専本科生・専攻科生が酸化物磁性材料の実験研究や、機械学習を用いた材料設計に取り組んでいます。 最近、その成果が少しずつ査読論文として形になってきました。研究業績に掲載している論文の一部には、当研究室の学生が在学中に実験、解析、議論、発表等に関わった成果が含まれています。 一方で、これらの成果の多くは、在学中に論文掲載まで到達したものではありません。高専本科生や専攻科生の研究期間は限られており、研究として面白い結果が得られても、査読論文としてまとめるには、卒業後の追加検討、再解析、執筆、査読対応が必要になることがあります。 それでも、学生が在学中に作った研究の核が、卒業後に論文として社会に残ることには大きな意味があります。高専での研究活動は、短い期間であっても、本物の問いに向き合い、試料を作り、測定し、データを読み、議論する経験です。その経験が、後に査読論文へと結びつくことがあります。 当研究室では、学生の研究成果を一過性のものにせず、可能な限り丁寧に記録し、知として残していきたいと考えています。論文掲載を約束することはできませんが、研究として価値のある成果が得られたときには、その成果が埋もれないよう、教員として責任を持って向き合います。

April 29, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

教育用プロジェクト「Codexで作る夏目漱石 MiniGPT」をGitHubで公開しました

教育用プロジェクト「Codexで作る夏目漱石 MiniGPT」をGitHubで公開しました。 このプロジェクトは、Codex App / Codex CLI と協働しながら、青空文庫の夏目漱石作品を用いて小型GPTをゼロから学習する流れを体験するための教材です。ここでいう「ゼロから」とは、事前学習済みの大規模言語モデルの重みを使うのではなく、ランダム初期化した小型のGPT型モデルを、収集・整形したテキストデータで学習するという意味です。 目的は、夏目漱石を再現するAIを作ることではありません。学生や初学者が、データ収集、テキスト整形、文字単位トークナイザ、事前学習、損失曲線の観察、生成文の観察という一連の流れを、手元のPCで追体験できるようにすることです。 リポジトリには、青空文庫本文や学習済みcheckpointは同梱していません。本文データは実行時に取得し、学習結果も各自の環境で生成する前提にしています。由来情報、権利、データ整形、失敗ログを含めて教材化することを重視しています。 研究室では、生成AIを「使う」だけでなく、仕組みや限界を観察しながら学ぶための教材づくりにも取り組んでいます。今回の公開は、そのための小さな実践の一つです。 関連リンク: GitHub: codex-soseki-minigpt 公開資料

April 29, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

gpt-image-2で研究室紹介をつくったら、Claudeに鋭い指摘をもらった話

本日公開されたOpenAIの画像生成AI「gpt-image-2」を使って、研究室紹介のインフォグラフィックと、研究テーマを6コマで描いた漫画を作成してみました。 日本語が崩れず、構図や情報設計も一発でここまで来るのか、と率直に驚きました。ここ1〜2年の進歩のスピード、本当に速いですね。 Claudeにレビューしてもらったら ふと思い立って、出来上がった画像をClaudeに見せて感想をたずねたところ、専門用語の微妙な違和感を的確に指摘してくれました。 「磁気秩序状態効果」→「磁気秩序状態」で十分 「実験支援材料記述」→「材料記述子による実験支援」のほうが自然 「教育資材」→一般には「教材」 「役割演習」→「ロールプレイ」の直訳っぽい ぱっと見は完璧に見えるのに、専門家の目で読むと微妙な表現が残っている。これまたよく気付くな、と二重の驚きでした。 画像生成AIとLLM、それぞれの得意 画像生成AIは視覚的な完成度を、LLMは意味論的な精度を。それぞれのAIに得意領域があり、相互にチェックさせると仕上がりが一段上がる。AI時代のものづくりの一面を、改めて感じた朝でした。

April 22, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

論文が『大学の物理教育』に掲載されました

大規模言語モデル(LLM)を用いた物理試験の採点支援システムに関する教育実践論文が、『大学の物理教育』に掲載されました。 論文情報: タイトル: “大規模言語モデルを用いた物理試験の採点支援システムの実践” 英文タイトル: “Practical Implementation of a Large Language Model–Based Grading Support System for Physics Exams” 著者: 佐藤桂輔 掲載誌: 大学の物理教育, Vol. 32, No. 1 (2026), p. 19 本研究では、高専の物理科目(応用物理I・波動分野)の定期試験を対象に、LLMが採点基準に基づいて観点別評価とフィードバックコメントを自動生成し、手書き答案に注釈付きPDFとして返却するシステムを構築・実践しました。 教員による最終確認を前提とした運用で、LLM判断の修正率は約1.7%にとどまり、学生アンケートでは全項目で平均4.1以上(5段階)の肯定的評価が得られました。LLMを「教員の代替」ではなく「採点作業とフィードバック生成を支援するツール」と位置づけることで、採点精度と学生の受容性の両立を探った実践報告です。

April 4, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

オンライン教材「物理からはじめる説明の作法」を公開しました

オンライン教材「物理からはじめる説明の作法 ― 物理現象をめぐる説明の構築と批判を通して」を公開しました。 📘 教材を読む この教材が扱うこと 本教材は、物理の公式や解法を教えるための教材ではありません。 「見たこととそこから言えることを分ける」「条件を示して主張する」「証拠で支える」「限界を認める」――こうした説明の組み立て方を、物理現象を題材にして身につけるための教材です。 教材の概要 高校物理を学んでいる、あるいは学び終えた方を想定し、全12章の三部構成で学びます。 第I部 見る・分ける(第1〜4章) 第1章 見えたことと、そこから言えること 第2章 主張を支える三つの柱 第3章 グラフは何を語り、何を語らないか 第4章 断言を、条件つきの主張へ 第II部 つなぐ・組み立てる(第5〜8章) 第5章 モデルは「嘘」ではなく、道具である 第6章 何を変え、何を固定すればよいか 第7章 同じ現象を、同じ内容で語れているか 第8章 どこまでなら言えるのか 第III部 比べる・批判する(第9〜12章) 第9章 説明の骨組みを見えるようにする 第10章 たとえは、どこまで助けになり、どこで誤解を生むのか 第11章 もっともらしい説明を、どう公正に疑うか 第12章 科学を、社会に届く形で語る 本教材の特徴 独学でも授業でも ― 各章に小課題と解答例を配置し、一人でも読み進められる設計です 物理を足場に ― 物理現象を題材にしていますが、身につく力はあらゆる場面で使える思考の技術です 条件を貫くテーマに ― 断言に潜む条件、モデルの前提、統制変数、適用範囲、限定、反駁と、形を変えながら「条件」というテーマが全章を貫いています ぜひご活用ください。ご意見・ご感想はお問い合わせページよりお寄せください。

March 28, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

オンライン教材「AIと協働する技術 ― エージェント・ハーネス設計の12講」を公開しました

オンライン教材「AIと協働する技術 ― エージェント・ハーネス設計の12講」を公開しました。 📘 教材を読む この教材は「プログラミング」の教材ではありません 本教材は、PythonやAPIの使い方を学ぶプログラミング教材ではありません。 AIに「何をさせるか」「どう役割を分けるか」「どこまで任せるか」――こうした設計の考え方を身につけるための教材です。コードを書かなくても、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを日常的に使っている方であれば、十分に読み進められます。 教材の概要 AIエージェントの「賢さ」ではなく「働かせ方の構造」を理解し、道具設計・計画管理・役割分担・安全統制を自ら設計できるようになることを目指しています。 高専・高校・大学の1〜2年生を主な読者として想定し、全12章の2部構成で学びます。 Part I 基盤:1体のAIを働かせる(第1〜6章) 第1章 AIを「魔法」ではなく「系」として見る 第2章 1つのループがエージェントを生む 第3章 AIに道具を持たせる 第4章 計画しないAIは迷う 第5章 必要な知識を、必要なときに読む 第6章 AIは忘れる――文脈と要約の設計 Part II 協調:複数のAIを設計する(第7〜12章) 第7章 役割分担でAIを強くする 第8章 仕事を分解し、依存を設計する 第9章 AI同士が連絡するとき、何が必要か 第10章 自分で仕事を見つけるAI 第11章 互いに邪魔しない作業空間をつくる 第12章 安全・権限・倫理――最後に人間が責任を持つ 本教材の特徴 プログラミング不要 ― コードではなく、AIの「外側の設計」(道具、計画、知識管理、役割分担、権限)を扱います 身近な比喩で理解 ― 物理実験の手順になぞらえて、AIの働かせ方を段階的に学べます 人間が主役 ― 「AIの出力に対する最終責任は人間にある」という原則を全体を通じて重視しています ぜひご活用ください。ご意見・ご感想はお問い合わせページよりお寄せください。

March 25, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔

東海村立東海中学校で教職員向け生成AI研修を実施しました(Copilot Chatを活用)

2025年12月18日、東海村立東海中学校にて、教職員の皆さま向けに生成AIの研修を担当させていただきました。 当日は約30名の先生方にご参加いただき、前半は生成AIの基本的な仕組みと、教育現場で扱う際の留意点を確認しながら、校務での具体的な使いどころを整理しました。 後半は、学校の環境で Microsoft Copilot Chat を利用できたこともあり、実際に手を動かす時間を十分に確保できました。 参加者の皆さまと一緒に確かめながら進められたのが印象的でした。 研修で扱った例(抜粋): 学校だより・保護者向け文書のたたき台作成 校務の定型文の整備 今回の研修が、先生方の校務や授業づくりの負担軽減と質の向上につながれば幸いです。 研修のご相談は、お問い合わせ からお気軽にご連絡ください。

December 18, 2025 · 1 min · 佐藤桂輔

佐野中学区講演と教育実践学会第33回大会:AIと向き合った週末

2025年11月29日(土)と30日(日)は,地域のみなさんと先生方と一緒に,AIとの付き合い方について考える2日間になりました. 11月29日(土)佐野中学区での講演 佐野中学区の自治会,民生委員の方々を中心とした会にお招きいただき,「わが子とAI,どうつきあう?」というテーマでお話ししました. 参加された皆さんからは,熱心にメモを取りながらうなずいてくださる姿や,具体的なご質問をいただきました. AIを「怖いもの」として遠ざけるのではなく,「一緒に学びながら距離感を探っていく存在」として捉えようとする前向きな姿勢が,とても印象的でした. 11月30日(日)教育実践学会第33回大会 翌日は,教育実践学会第33回大会(学会設立30周年記念)に参加し,AI時代の教育に関する実践報告や公開シンポジウムに関わりました. AIを授業や校務で積極的に活用されている先生方の報告を伺い,日々の試行錯誤や工夫の具体的な事例から多くの学びを得ました. シンポジウムでは,他の登壇者の先生方とともに,「AI時代の学びをどのように支えるか」について議論しました.登壇中はなんとか凌いだという感覚もありましたが,終わったあとに「今度,一緒にAIを使った授業づくりをやってみましょう」と声をかけていただき,新しい協働のきっかけが生まれつつあります. 地域のみなさんとの対話と,教育実践の現場での議論がつながった,印象深い週末になりました.

November 30, 2025 · 1 min · 佐藤桂輔

gpt-5.1を試しながら振り返る、最近の『対話』

OpenAI から gpt-5.1-pro が公開されました。新しいモデルに触れるとき、私は毎回「1年前に自分が書いた LinkedIn 投稿をどのように読み取るか」をひとつの指標にしています。 この LinkedIn 投稿はいまでも気に入っていて、モデルごとに少しずつ違う読み方を見せてくれるのを楽しんできました。 今回 gpt-5.1-pro と向き合ったときにも、思わず「まじか」とつぶやいてしまう一言が返ってきました。その具体的なやりとりについては後半で触れつつ、ここではまず、きっかけになった LinkedIn のテキストを原文のまま残しておきたいと思います。 Below is the LinkedIn post I originally wrote in English one year ago: Let us reflect on the true essence of dialogue. There is a saying that “A knife is a chef’s life.” A chef treats their knife with the utmost respect, maintaining it with care and fostering a deep bond with their tool. This represents a relationship that transcends mere tool usage, evolving into something more profound. ...

November 19, 2025 · 2 min · 佐藤桂輔