強みを研究室運営の手がかりとして見る

今年度の研究室メンバーに、クリフトンストレングスを受けてもらいました。 昨年度は、限られた予算を生成AIの利用環境に回したため、同じ形では実施しませんでした。AIを使える環境を整えることも、研究室の学びを支える大事な投資だったと思っています。一方で、昨年度の学生には同じ機会を用意できなかったので、少し心残りもあります。 今年度はあらためて、学生一人ひとりの学び方や関わり方を考える材料として、クリフトンストレングスを再開しました。 こうした結果は、学生を固定的に見るためのものではありません。「この人はこういうタイプだ」と決めつけるのではなく、研究室の中でどのように声をかけるか、どのように役割を渡すか、どのように安心して相談できる場をつくるかを考えるための手がかりとして扱いたいと思っています。そのため、ここでは個人の結果や順位には触れません。 結果を見ながら、私自身についても考えさせられました。 私は、思いついたことをすぐ試したくなるところがあります。研究の方向性を考えたり、新しい方法を試したりすることは好きですし、それが研究室の推進力になる場面もあります。一方で、教員が何気なく口にしたアイデアが、学生には「もう決定事項なのかな」と聞こえることもあるかもしれません。 こちらは「可能性として言った」つもりでも、受け取る側にとっては「やらなければならないこと」に見えてしまう。これは、私が気をつけなければならない点だと感じました。 そこで今年度は、少し意識して言葉を分けたいと思っています。 「これは思いつきです」 「これは候補です」 「これは今週やることです」 この3つを分けるだけでも、研究室の中での受け取り方は変わるのではないかと思います。研究のアイデアはたくさん出したい。しかし、それを全部すぐにタスクにする必要はありません。いったん棚に置くもの、少し調べてみるもの、今すぐ試すものを分けることで、発想の勢いと、学生のペースの両方を大事にできるはずです。 また、研究では「違和感を言えること」も大切です。データが予想と違う、計画に無理がある、説明がまだ弱い。そうした小さな引っかかりを早めに出せるかどうかで、研究の進み方は大きく変わります。 ただ、「自由に意見を言ってよい」と言うだけでは、十分ではないのかもしれません。反対意見や不安をその場で出すことには、思っている以上に負担がある場合があります。だからこそ、ゼミや面談の中で、「この計画が失敗するとしたら何が原因か」「今の案に心配な点を一つ挙げるなら何か」といった問いを、自然に入れていきたいと思っています。 強みを知ることは、人を分類することではなく、その人が力を出しやすい環境を考えることだと思います。 昨年度はAI環境を整え、今年度はあらためて人の側にも目を向けることにしました。AIをどう使うかを考えることと、学生がどのように学び、考え、関わるかを考えることは、別々の話ではありません。道具が高度になるほど、それを使う人間の側の理解も大事になると感じています。 今年度も、学生の皆さんと一緒に、試行錯誤しながら研究室をつくっていきたいと思います。

May 18, 2026 · 1 min · 佐藤桂輔