In2O3中のコバルトに関する論文
昨年度に専攻科を卒業した熊谷さんの結果が,論文として出版されました. タイトル:Site occupancy, valence state, and spin state of Co ions in Co-doped In2O3 diluted magnetic semiconductor 著者:H.Kumagai, Y.Hara, and K.Sato 雑誌l:Journal of Magnetism and Magnetic Materials Volume 489, 1 November 2019, 165358 In2O3にコバルトをドープして,結晶構造,コバルトの価数とスピン状態を調べました. 従来,Co2+しか報告例がありませんでしたが,コバルトの濃度によってCo3+が存在することを明らかにしました. X線回折のリートベルト解析の結果,価数によって占有するサイトが異なることも分かりました. Co3+のスピン状態は,低スピン状態にある可能性が高そうです. ここから,どうやってCo3+のスピン状態を変えるか,スピン転移を起こすかが今後の課題です. 茨城高専に来てから始めたテーマで,初めての論文です. X線回折のリートベルト解析は,H31年1月末に納入したばかりの,リガクさんのデスクトップX線回折装置 MiniFlexを使いました. また,X線光電子分光の結果を論文にしたのは,初めてです. 色々と初物づくしの論文でした. 著者が3人と,理論の論文のような雰囲気ですが,実験の論文です.