論文を公開しました(The Honorific Effect: Exploring the Impact of Japanese Linguistic Formalities on AI-Generated Physics Explanations)

日本語の敬語が大規模言語モデル(LLMs)の物理学説明に与える影響を探求しました。ChatGPT 3.5、ChatGPT 4.0、Coral (Command R+)、Gemini 1.0 Pro、Gemini 1.5 Flash、Gemini 1.5 Proの6つのモデルを用い、14種類の敬語表現による運動量保存則の説明を分析しました。結果、敬語の使用がAI生成応答の質、一貫性、形式性に大きな影響を与えることが明らかになりました。 各モデルは特徴的な応答パターンを示し、例えばCoralは歴史的文脈と数学的導出を重視し、Geminiモデルはより直感的な説明を提供する傾向がありました。また、敬語の使用によってAIの説明の深さや複雑さが調整される可能性も示されました。 この研究は、AI支援学習における文化的要素の重要性を強調し、教育者や開発者がAIツールを文化的に適切な方法で活用するための洞察を提供します。さらに、AI リテラシー教育や、AIの社会実装における文化的配慮の必要性についても示唆を与えています。 https://doi.org/10.48550/arXiv.2407.13787

July 22, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

論文を公開しました(Exploring the Educational Landscape of AI: Large Language Models' Approaches to Explaining Conservation of Momentum in Physics)

大規模言語モデル(LLMs)の物理教育における応用を探求しました。ChatGPT 3.5、ChatGPT 4.0、Coral、Gemini 1.0 Pro、Gemini 1.5 Flash、Gemini 1.5 Proの6つのモデルを用い、運動量保存の法則の説明能力を評価しました。結果、各モデルは異なる強みを持ち、教育レベルに応じた適応性を示しました。ChatGPT 4.0とCoralは高度な議論に適しており、Geminiモデルは初心者向けの直感的な説明が得意です。この研究は、物理教育におけるAIの可能性を示し、教育者がこれらのツールを効果的に活用するための基盤を提供します。さらに、AIアシスタントの利用方法とその客観性を確保する新たなアプローチを示しました。 [2407.05308] Exploring the Educational Landscape of AI: Large Language Models’ Approaches to Explaining Conservation of Momentum in Physics (arxiv.org)

July 9, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

Exploring New Frontiers in AI Interaction: A Comparative Study of Dialogue Approaches

1. Introduction In recent years, we’ve witnessed the rapid proliferation of large language models (LLMs) such as ChatGPT and Claude. The accessibility of these advanced models, particularly with the recent release of GPT-4 and Claude 3.5 Sonnet, and their free-to-use versions, is expected to drive a significant increase in user adoption. To maximize the potential of these AI assistants, developers have been providing various prompting examples. For instance, Anthropic recently published “Mastering Claude: A Prompting Guide,” which recommends engaging in dialogue with Claude after providing appropriate response guidelines. ...

June 26, 2024 · 23 min · 佐藤桂輔

生成AI活用段位:ChatGPTなどのLLMを活用する指標

近年のChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)を中心とした生成AI技術の急速な発展を鑑みて、「生成AI活用段位」という指標を作成してみました。この指標は、これらの先進的なAIツールを効果的に活用するスキルを段階的に評価し、継続的な成長を促すことを目的としています。 生成AI活用段位は以下の10段階で構成されています: 初段:基本的な情報収集と質問応答 二段:アイデア生成と初歩的な批判的思考 三段:問題解決と基本的な意思決定の支援 四段:専門的な分析とコンテンツ制作 五段:基本的な倫理的認識と意思決定の向上 六段:高度な批判的思考と創造的問題解決 七段:倫理的判断の深化と個人の認知拡張 八段:個人の成長と学習の最適化 九段:AIとの共進化的関係構築 十段:社会変革とAI活用の最適化 この段位システムは、単なるAIツールの操作スキルだけでなく、倫理的配慮、創造的思考、社会への貢献など、AIと共存する未来社会で求められる総合的な能力を評価します。 段位の評価方法 生成AI活用段位の評価方法は簡単です。LLMとの対話が上手くいったと感じた際、以下の内容をLLMに尋ねてください。 今回の対話は以下に示す生成AI活用段位の何段に相当するでしょうか?理由も添えて教えてください。また、次の段位に至るためには、今回の対話からどのような活用が考えられますか? 初段:基本的な情報収集と質問応答 AIを使用して、事実関係の確認や定型的な質問への回答を得る。 AIの応答をそのまま受け入れることが多く、批判的に吟味することは少ない。 情報検索にかかる時間を短縮し、基本的な情報アクセスを効率化する。 二段:アイデア生成と初歩的な批判的思考 AIを活用して、新しいアイデアのブレインストーミングを行い、自分の考えを整理する。 AIの提案を参考にしつつ、基本的な批判的思考を適用してアイデアを選択する。 三段:問題解決と基本的な意思決定の支援 複雑な問題に直面した際、AIを利用して問題の本質を見極め、解決策を探る。 様々な選択肢を吟味し、AIとの対話を通じて基本的な意思決定プロセスを効率化する。 四段:専門的な分析とコンテンツ制作 自分の専門分野でAIを活用し、高度な分析を行い、新たな知見を得る。 AIの支援を受けながら、質の高い論文、レポート、プレゼンテーション資料などを制作する。 五段:基本的な倫理的認識と意思決定の向上 AI利用におけるプライバシーや公平性などの基本的な倫理的問題の存在を認識する。 倫理的な観点を考慮しつつ、AIの提案をより慎重に評価し、意思決定の質を向上させる。 六段:高度な批判的思考と創造的問題解決 AIの提案を深く分析し、多角的な視点から評価し、高度な批判的思考を行う。 AIとの対話を通じて得た洞察を基に、独自の創造的なアイデアや複雑な問題の解決策を生み出す。 七段:倫理的判断の深化と個人の認知拡張 AI活用における倫理的判断を深め、個人と社会への潜在的な影響を考慮した意思決定を行う。 AIとの対話を通じて、自分自身の認知能力を拡張し、従来の方法では解決困難な課題に取り組む。 八段:個人の成長と学習の最適化 AIとの対話を通じて、自己の学習スタイル、強み、弱点を深く分析し、個人に最適化された成長戦略を立案する。 AIを活用して複数の学習リソースを統合し、リアルタイムでフィードバックを得ながら、新しい言語や技能を効率的に習得する。 学習進捗をAIが継続的に評価し、目標達成に向けて学習方法や内容を動的に調整する。 九段:AIとの共進化的関係構築 AIと協働し、独自の創造性や直感を融合させた新たな価値を創造する。 AIとの対話を通じて、自身の思考の枠組みや価値観を再構築し、より高次の思考を実現する。 十段:社会変革とAI活用の最適化 AIの活用を通じて得た知見や技術を基に、社会システムや組織のあり方を再設計する。 個人の成長と学習の成果を活用し、AIと人間が協働する新しい教育システムや労働環境を創出する。 AIとの共生社会における新たな倫理観や価値観を提唱し、それを社会全体で共有し、実践する。 この評価方法は、ChatGPTのような高性能なLLM(大規模言語モデル)を使用することを推奨します。特に、最新のモデルバージョン(例:ChatGPT-4など)を使用すると、より精度の高い評価とフィードバックが得られます。この方法により、自身のAI活用スキルを客観的に評価し、次のステップへの指針を得ることができます。定期的に自己評価を行うことで、継続的な成長を実感できるでしょう。 本生成AI活用段位システムは、教育的および実験的な目的で作成されたものです。以下の点にご留意ください。 この段位システムは当研究室独自の指標であり、公的な資格や認定を意味するものではありません。 AIの責任ある使用を心がけ、倫理的配慮を忘れずに活用してください。 AIとの対話内容を共有する際は、個人情報や機密情報の取り扱いに十分注意してください。 このシステムは、急速に進化するAI技術に対応するため暫定的なものです。 本システムの使用結果や解釈については、利用者自身の責任で行ってください。 本システムに関するフィードバックは、関連分野の研究者の方々から歓迎いたします。

June 24, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

技術の進歩がもたらす変化について -ホームルームでの取り組み-

先日,ホームルームで技術の進歩がもたらす変化について考える機会を設けました.電卓,インターネット,生成AIという三つの事例を取り上げ,それぞれの技術が普及する前と後で,私たちの生活や仕事,学習がどのように変化したか,変化しそうかを議論しました. 電卓の普及により,単純な計算能力だけでは不十分になり,複雑な問題を解決するために計算結果を分析し解釈する力が求められるようになりました.インターネットの普及では,知識を覚えるだけでは不十分になり,膨大な情報の中から必要な情報を取捨選択し活用する力が重要になりました. そして現在,生成AIの登場により,情報を生成するだけでは不十分になりつつあります.AIが生成した膨大な情報の中から,真に価値のある情報を見極め,倫理的に活用する力が求められるようになると考えられます. 技術の進歩を理解し,それを適切に活用しながら,自ら学び続ける姿勢を持つことの大切さを共有できたと期待しています.

June 5, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

Pythonで再現した最新の機械学習研究:Shannonのイオン半径データベース

最近、非常に面白い論文を読んだので、共有させていただきます。論文のタイトルは「Extending Shannon’s ionic radii database using machine learning」1で、著者たちは機械学習を用いてShannonのイオン半径データベースを拡張することに成功しています。この研究は、特に酸化状態と配位数の組み合わせを用いたイオン半径の予測に焦点を当てています。機械学習モデルとしてガウス過程回帰(GPR)が使用され、R²精度は99.3%、半径の平均二乗誤差(RMSE)は0.0332Åに達しています。 この論文では、データとソースコードが公開されていたので、それを利用させていただいてPythonで同じ解析に挑戦しました。以下に、解析結果を示します。 Training DataTest DataRMSE0.0306 Å0.0576 ÅR²99.4%97.7% 論文の結果と同等の精度を得ることができました。著者たちのデータとソースコードを参考に非常に短時間で解析を再現することができました。技術の進歩には本当に驚かされます。このような最新の研究成果を活用できることは、大変ありがたいことです。最後に、この研究を行った著者たちに深く感謝いたします。 1: Extending Shannon’s ionic radii database using machine learning, Ahmer A. B. Baloch, Saad M. Alqahtani, Faisal Mumtaz, Ali H. Muqaibel, Sergey N. Rashkeev, and Fahhad H. Alharbi, Phys. Rev. Materials 5, 043804 https://doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.5.043804

May 15, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

高専2年生を対象とした Python プログラミング入門– ニューラルネットワークを用いた大谷翔平選手の投球データ分析

前回に引き続き、高専2年生のホームルームクラスを対象に、Python プログラミングとデータ分析入門の授業を行いました。今回は、ニューラルネットワークを用いて、大谷翔平選手の投球データから球種を予測するモデル構築・学習に触れて貰いました。 授業では、以下の流れで学習を進めました。 回帰分析とニューラルネットワークの概要説明 過学習(オーバーフィッティング)の概念と判断方法の解説 大谷翔平選手の投球データを用いたニューラルネットワークモデルの構築と学習 学習済みモデルを用いた球種予測 学生たちは、まず回帰分析とニューラルネットワークの基本的な概念を学びました。次に、過学習の問題とその判断方法について理解を深めました。その後、pybaseball ライブラリを用いて大谷翔平選手の投球データを取得し、リリーススピードとリリーススピン率を特徴量として、ニューラルネットワークモデルを構築・学習に触れました。最後に、学習済みモデルを使って新しい投球データの球種予測を行いました。 学生たちは、プログラムを実行し、ニューラルネットワークモデルの学習過程と球種予測の結果を確認することができました。この経験を通して、機械学習の基本的な流れと、データ分析におけるニューラルネットワークの有用性を実感できたのではないでしょうか。 今後は、学生たちが自ら特徴量を選択したり、ハイパーパラメータを調整したりするなど、より主体的にプログラムに取り組むことができるよう、課題の設計を工夫していきたいと考えています。また、身近なデータを用いた分析事例を紹介することで、データ分析の面白さと可能性を伝えていきたいと思います。授業で使用したスライドの一部を以下に示します。

May 2, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

2次元の運動量保存則を扱ったアニメーション動画

Python を使って、2次元の運動量保存則を扱ったアニメーション動画を作成しました。 水平方向に飛んでいる鳩にハヤブサが斜め後ろから襲いかかる問題です。この問題を Python でアニメーション化することで、運動量保存則の概念を視覚的に理解することができます。比較的簡単なコードでこのようなアニメーションを作成することができました。最近の技術の進歩には驚かされてばかりです。引き続きうまく活用してきたいです。

April 24, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A誌に論文が掲載されました

“Development of instruments for imaging of local magnetic structure by magnetic neutron holography” Tomoya Kanno, Kenji Ohoyama, Hajime Nakada, Yuto Fukui, Kota Yamakawa, Shota Hoshi, Motoki Takano, Yodai Kobayashi, Yuka Tomimatsu, Shingo Takahashi, Takayuki Oku, Takuya Okudaira, Ryuju Kobayashi, Shusuke Takada, Masahide Harada, Kenichi Oikawa, Yasuhiro Inamura, Toetsu Shishido, Keisuke Sato, Kouichi Hayashi https://doi.org/10.1016/j.nima.2024.169349 磁気中性子ホログラフィー法により磁性合金の局所磁気構造を直接観察するための装置開発に関する論文です.偏極中性子生成用の3Heスピンフィルターや試料磁化用の磁石装置を新たに導入し,室温強磁性合金での予備的な測定に成功しました.

April 18, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔

高専2年生を対象としたPythonプログラミング入門 – クラスタリング分析を用いた大谷翔平選手の投球データ分析

前回に引き続き、高専2年生のホームルームクラスを対象に、Pythonプログラミングとデータ分析の実践的な授業を行いました。今回は、クラスタリング分析という手法を用いて、大谷翔平選手の投球データを分析する課題に取り組みました。 クラスタリング分析は、似たような特徴を持つデータを自動的にグループ化する手法であり、データ分析の重要な技術の一つです。授業では、以下の流れで学習を進めました。 クラスタリングの概要と応用例の説明 k-meansアルゴリズムの手順の解説 エルボー法によるクラスタ数の決定方法の説明 大谷翔平選手の投球データを用いたクラスタリング分析の実践 以下の動画は、k-meansアルゴリズムがどのようにしてデータをクラスタリングするかを示しています。 k-meansアルゴリズムは、以下のステップを繰り返します。 初期のクラスタ中心をランダムに選択 各データ点を最も近いクラスタ中心に割り当て 割り当てられたデータ点の平均を計算し、新しいクラスタ中心とする クラスタ中心の変化が収束するまで、ステップ2と3を繰り返す 学生たちは、リリーススピードとリリーススピン率の散布図の作成から始め、クラスタリングを実施しました。 クラスタリング分析の結果、大谷翔平選手の投球データは3つのグループに分類されました。さらに、各グループが球種の違いによるものであることが明らかになりました。これにより、学生たちはクラスタリング分析の有用性を実感できたのではないでしょうか。下に示す図は、授業で使用したスライドの一部です。大谷翔平選手の投球データをリリーススピードとリリーススピン率の散布図で表現し、クラスタリングの結果を色分けして示しています。さらに、各グループが主にどの球種で構成されているかを凡例で示すことで、クラスタリングの結果と球種の関連性を明確に表現しました。学生たちはクラスタリング分析の実用性と有用性を直感的に理解することができたと期待しています。 比較的イメージしやすい内容でクラスタリングに取り組みましたが、ソースコードを書き換えて他の選手と比較したり、他のデータと合わせて分析したりと、色々取り組んで欲しいと思います。

April 17, 2024 · 1 min · 佐藤桂輔